太淵(たいえん)とは?
手太陰肺経には、中府から少商まで11の経穴があります。
今回ご紹介するのは、 肺経の9番目の経穴「太淵(たいえん)」 です。
太淵は、 手首の親指側に位置する肺経のツボで、 東洋医学では 「原穴(げんけつ)」 に分類されます。
さらに、 兪土穴(ゆどけつ) であり、 古典では 「脈会(みゃくえ)」 としても知られる重要な経穴です。
名古屋市港区の 鍼灸治療院 寛ぎ では、 ツボ一つだけを見るのではなく、 気血・経絡・臓腑・陰陽など、 身体全体の状態を確認しながら施術を行っています。
太淵の場所
太淵は、 手首の親指側、手首のしわ付近 にあります。
東洋医学的には、 手関節横紋上で、 橈骨動脈の拍動を感じる付近に取ります。
前回ご紹介した 経渠(けいきょ) からさらに手首側へ進んだところに位置します。
この先、肺経は手のひら側へ進み、 魚際(ぎょさい) へと続いていきます。
「太淵」という名前の意味
経穴の名前には、 その場所や気血の状態を表す意味が込められていることがあります。
「太」は大きい、 「淵」は深く水がたまる場所を意味します。
そのため太淵は、 肺経の気血が豊かに集まる深い場所 というような意味で捉えられることがあります。
太淵は肺経の「原穴」
太淵を理解するうえで特に重要なのが、 原穴 という分類です。
原穴とは、 東洋医学において 臓腑の原気と深く関係すると考えられている経穴 です。
十二経脈には、 それぞれ原穴があります。
手太陰肺経では、 太淵が原穴 にあたります。
そのため、 肺経や肺の状態を考える際に 重要視される経穴の一つです。
「原気」とは?
東洋医学でいう原気とは、 身体の生命活動を支える基本的な気の一つとして考えられています。
原穴は、 この原気と関係する場所として捉えられてきました。
そのため、 太淵は単に手首にあるツボというだけではなく、 肺経全体の状態を考える際に重要な経穴 とされています。
太淵は「兪土穴」
太淵には、 もう一つ重要な特徴があります。
それが、 兪土穴 という分類です。
東洋医学では、 手足の末端から肘・膝までにある重要な経穴を、
井穴。
滎穴。
兪穴。
経穴。
合穴。
という5種類に分類します。
これを 五行穴 と呼びます。
肺経において太淵は 「兪穴」 にあたり、 さらに五行では 「土」 に属します。
そのため 兪土穴 と呼ばれます。
肺は「金」、太淵は「土」
東洋医学の五行では、 肺は 「金」 に属します。
一方、 太淵は肺経の中では 「土」 の性質を持つ経穴です。
五行では、 土から金が生じる という関係を 「土生金」と考えます。
こうした五行の関係も、 古典的な鍼灸では経穴を考える際の一つの要素になります。
太淵は「脈会」とも呼ばれる
太淵には、 さらに 「脈会」 という重要な意味があります。
東洋医学では、 身体の中のさまざまな要素が集まる場所として 八会穴(はちえけつ) という考え方があります。
太淵はその中で、 脈が集まる場所 と考えられ、 「脈会」とされています。
そのため古典では、 脈や気血の状態を考える際にも 重要視されてきた経穴です。
太淵はどのようなときに使われる?
古典的な東洋医学では、 太淵は肺経に関係するさまざまな状態を考える際に 用いられてきました。
たとえば、
咳。
喉の違和感。
胸のつかえ感。
呼吸のしづらさ。
手首周囲の違和感。
疲れやすさ。
などを確認する際に選ばれることがあります。
ただし、 「この症状なら必ず太淵」 という使い方ではありません。
身体全体の状態や、 他の経絡との関係を確認しながら 使用する経穴を選んでいきます。
なぜ原穴が重要なの?
鍼灸を勉強していると、 「原穴」という言葉がよく出てきます。
これは、 各経絡の状態を考えるうえで 原穴が重要な位置づけにあるためです。
肺経では太淵、 大腸経では合谷、 胃経では衝陽というように、 各経絡に原穴があります。
東洋医学では、 これらの原穴も参考にしながら 臓腑や経絡の状態をみていきます。
ここまでの肺経の流れ
ここまで肺経は、
中府
↓
雲門
↓
天府
↓
侠白
↓
尺沢
↓
孔最
↓
列缺
↓
経渠
↓
太淵
と進んできました。
胸から上腕、肘、前腕を通り、 いよいよ手首まで到達しました。
この先は、 手のひらの親指側にある 魚際 へと続いていきます。
太淵を自分で押してもいい?
セルフケアとして触れる場合は、 手首の親指側を指の腹でやさしく刺激してください。
ただし太淵付近には、 橈骨動脈 が走っています。
脈を感じる場所を強く押し込む必要はありません。
軽く触れる程度にし、 長時間強く圧迫することは避けてください。
手首に強い痛み・腫れ・しびれなどがある場合は、 無理に刺激せず、 必要に応じて医療機関へご相談ください。
太淵だけで身体を判断するわけではありません
太淵は、 原穴・兪土穴・脈会という 複数の特徴を持つ重要な経穴です。
しかし鍼灸では、 一つのツボだけですべてを判断するわけではありません。
肺経だけでも、
中府。
雲門。
天府。
侠白。
尺沢。
孔最。
列缺。
経渠。
太淵。
魚際。
少商。
という11の経穴があります。
さらに他の経絡も含め、
気血
経絡
臓腑
陰陽
などを確認しながら、 その日の身体に合わせて施術を組み立てます。
名古屋市港区の鍼灸治療院 寛ぎ
鍼灸治療院 寛ぎでは、 症状が出ている場所だけを見るのではなく、 身体全体の状態を確認することを大切にしています。
東洋医学の考え方をもとに、 鍼・灸・手技・吸い玉などを お身体の状態に合わせて組み合わせています。
身体全体をみる「全身鍼灸」
一部分だけではなく、 身体全体をしっかり確認してほしい方には、 全身鍼灸 をご用意しています。
気血・経絡・臓腑・陰陽など、 東洋医学の考え方をもとに、 その日の身体に合わせて施術を組み立てます。
施術時間:90分程度
料金:11,000円(税込)
美顔鍼付き
肺経シリーズ|次回は「魚際」
今回の 太淵 に続いて、 次回は親指の付け根付近にある 「魚際(ぎょさい)」 をご紹介します。
魚際は、 肺経の滎火穴(えいかけつ) に分類されます。
次回は、 「滎穴とは?」 「肺経の中にある火のツボとは?」 というところまで詳しく見ていきます。
まとめ
太淵は、 手太陰肺経の9番目に位置する経穴 です。
肺経の 原穴であり、 兪土穴、 さらに 八会穴の「脈会」 としても知られています。
一つのツボにこれだけ複数の意味があるところも、 東洋医学の面白いところです。
ツボを単なる「押す場所」としてではなく、 経絡や五行、臓腑との関係から見ていくと、 東洋医学の身体観がより分かりやすくなってきます。
名古屋市で東洋医学をもとにした鍼灸をお探しの方は、 お気軽にご相談ください。
鍼灸治療院 寛ぎ