尺沢(しゃくたく)とは?
手太陰肺経には、中府から少商まで11の経穴があります。
今回ご紹介するのは、 肺経の5番目の経穴「尺沢(しゃくたく)」 です。
尺沢は、 肘の内側に位置する肺経のツボで、 東洋医学では 「合水穴(ごうすいけつ)」 に分類される重要な経穴です。
名古屋市港区の 鍼灸治療院 寛ぎ では、 一つのツボだけを見るのではなく、 経絡や気血、臓腑、陰陽など身体全体の状態を確認しながら施術を行っています。
尺沢の場所
尺沢は、 肘を軽く曲げたときにできる肘のしわ付近 にあります。
上腕二頭筋腱の外側に位置し、 肺経が上腕から前腕へ移るところにある経穴です。
前回ご紹介した 侠白(きょうはく) から下へ進み、 肘のところで尺沢に到達します。
この先、肺経は前腕を通り、 孔最・列缺・経渠・太淵へと続いていきます。
「尺沢」という名前の意味
経穴の名前には、 その場所や働きを表す意味が込められていることがあります。
「尺」は前腕部を、 「沢」は水が集まる場所や湿地を表す言葉として考えられます。
尺沢は肘のくぼみに位置し、 東洋医学では 気が集まる場所 として捉えられてきました。
尺沢は「合水穴」
尺沢を理解するうえで重要なのが、 合水穴(ごうすいけつ) という考え方です。
東洋医学では、 手足の先から肘・膝にかけて存在する重要な経穴を
井穴。
滎穴。
兪穴。
経穴。
合穴。
という5つに分類します。
これを 五行穴(ごぎょうけつ) と呼びます。
肺経において、 尺沢はその中の 合穴 にあたり、 さらに五行では 「水」 に属するため、 合水穴と呼ばれます。
五行で肺は「金」に属する
東洋医学の五行では、 肺は 「金」 に属します。
一方で、 尺沢は肺経の中では 「水」の性質を持つ経穴 として分類されます。
このように、 一つの経絡の中でも、 それぞれの経穴に 木・火・土・金・水という五行が配当されています。
こうした考え方をもとに、 身体の状態をみながら経穴を使い分けていきます。
尺沢はどのようなときに使われる?
古典的な東洋医学では、 尺沢は肺経に関係するさまざまな状態を考える際に 用いられてきました。
たとえば、
咳。
喉の違和感。
胸のつかえ感。
呼吸のしづらさ。
肘周囲の張りや違和感。
などを確認する際に選ばれることがあります。
ただし、 「この症状には必ず尺沢」 という使い方ではありません。
同じ症状でも、 その方の体質や身体の状態によって 使用する経穴は変わります。
東洋医学でみる「肺」の働き
東洋医学でいう「肺」は、 現代医学の肺という臓器だけを意味するものではありません。
東洋医学では肺を、
呼吸。
気の巡り。
鼻や喉。
皮膚や身体表面。
水分の巡り。
などと関係するものとして考えます。
そのため尺沢を使う場合も、 単に呼吸器だけを見るのではなく、 身体全体の状態を確認します。
肘のツボですが、肘だけを見るわけではありません
尺沢は肘にありますが、 鍼灸では ツボのある場所だけを施術するわけではありません。
たとえば、
胸の緊張。
肩の張り。
首周囲の状態。
呼吸の深さ。
腕全体の緊張。
なども確認しながら、 身体全体のつながりをみていきます。
中府から尺沢までの肺経の流れ
ここまで肺経は、
中府
↓
雲門
↓
天府
↓
侠白
↓
尺沢
と進んできました。
胸から上腕を通り、 尺沢で肘まで到達します。
ここから肺経は、 前腕を通って手首、親指へと向かっていきます。
ツボを一つずつ追っていくと、 経絡が身体の中を流れる一本の道として考えられている ことが分かります。
尺沢を自分で押してもいい?
セルフケアとして触れる場合は、 肘を軽く曲げ、 肘のしわ周辺を指の腹でやさしく押してみてください。
強く押し込む必要はありません。
気持ちよく感じる程度の刺激で十分です。
また、 強い痛みや腫れ、しびれなどがある場合は、 自己判断で刺激を続けず、 必要に応じて医療機関へご相談ください。
尺沢だけで身体を判断しません
肺経には、
中府。
雲門。
天府。
侠白。
尺沢。
孔最。
列缺。
経渠。
太淵。
魚際。
少商。
という11の経穴があります。
それぞれに役割がありますが、 鍼灸では一つのツボだけで 身体の状態を判断するわけではありません。
気血
経絡
臓腑
陰陽
などを確認し、 その日の身体に合わせて使用する経穴を決めていきます。
名古屋市港区の鍼灸治療院 寛ぎ
鍼灸治療院 寛ぎでは、 症状が出ている場所だけでなく、 身体全体の状態を確認することを大切にしています。
東洋医学の考え方をもとに、 鍼・灸・手技・吸い玉などを 身体の状態に合わせて組み合わせています。
身体全体をみる「全身鍼灸」
一部分だけではなく、 身体全体をしっかり確認してほしい方には、 全身鍼灸 をご用意しています。
気血・経絡・臓腑・陰陽など、 東洋医学の考え方をもとに その日の身体に合わせて施術を組み立てます。
施術時間:90分程度
料金:11,000円(税込)
美顔鍼付き
肺経シリーズ|次回は「孔最」
今回の 尺沢 に続いて、 次回は前腕にある 「孔最(こうさい)」 をご紹介します。
孔最は、 肺経の郄穴(げきけつ) に分類される経穴です。
次回は、 「郄穴とは何か?」 というところまで少し詳しく見ていきます。
まとめ
尺沢は、 手太陰肺経の5番目に位置する経穴 です。
肘の内側にあり、 肺経の 合水穴 に分類されます。
五行穴という考え方を知ると、 ツボが単なる「押す場所」ではなく、 東洋医学の理論の中で分類されていることが分かります。
名古屋市で東洋医学をもとにした鍼灸をお探しの方は、 お気軽にご相談ください。
鍼灸治療院 寛ぎ