HEADACHE MEDICAL GUIDE

頭痛を正しく知る

片頭痛・緊張型頭痛の違いから、 危険な頭痛の見分け方、 薬物療法、理学療法、 東洋医学、鍼灸の効果と限界まで。
頭痛を医学的根拠に基づいて解説します。

まず知ってほしいこと

頭痛は、単なる肩こりや 疲れだけで起こるとは限りません。

頭痛には、頭痛そのものが疾患である 一次性頭痛と、別の病気によって生じる 二次性頭痛があります。

一次性頭痛の代表は、 片頭痛と緊張型頭痛です。 同じ「頭が痛い」という症状でも、 病態や適切な治療法は異なります。

また、突然の激しい頭痛、 手足の麻痺、発熱を伴う頭痛などは 重大な疾患の徴候である可能性があります。

まずは危険な頭痛を見逃さず、 頭痛の種類に合った治療を 選択することが大切です。

最重要|こんな頭痛は救急医療を優先
  • 突然、数秒〜数分で最大になる激しい頭痛
  • これまでに経験したことのない突然の頭痛
  • 手足の麻痺・しびれ、言葉が出ない、顔のゆがみ
  • 意識が悪い、けいれんを伴う
  • 高熱、首の強い硬さ、意識の変化を伴う
  • 頭を強く打った後の頭痛
  • 急な視力低下、目の強い痛み、充血を伴う

これらの症状がある場合は、 くも膜下出血、脳卒中、 髄膜炎、急性緑内障発作なども考えられます。 直ちに救急受診し、 状況に応じて119番へ連絡してください。

また、50歳以降に初めて生じた新しい頭痛、 がん・免疫抑制状態のある方の新しい頭痛、 咳・運動・姿勢で誘発される頭痛、 徐々に悪化する頭痛なども 早めの医学的評価が必要です。

CLASSIFICATION

頭痛にはどんな種類がある?

一次性頭痛

頭痛そのものが主な疾患で、 片頭痛、緊張型頭痛、 群発頭痛などが含まれます。

脳に重大な病気がない場合でも、 頭痛によって生活が大きく 制限されることがあります。

二次性頭痛

脳血管障害、感染症、 頭部外傷、目や耳鼻科の病気など、 別の原因によって生じる頭痛です。

原因によっては 緊急の検査・治療が必要になります。

特に重要なのは、 頭痛の特徴だけで 「いつもの頭痛」と 決めつけないことです。

HEADACHE TYPES

片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛の違い

特徴 緊張型頭痛 片頭痛 群発頭痛
痛み 締め付けるような痛み ズキズキすることが多い 片側眼周囲の激痛
程度 軽度〜中等度 中等度〜重度 重度〜極めて重度
動作 日常動作では通常悪化しにくい 歩行などで悪化しやすい 落ち着かず動き回ることがある
随伴症状 通常、強い吐き気はない 吐き気、光・音への過敏 涙、鼻水、目の充血など
持続時間 30分〜持続的 成人で4〜72時間が典型 15〜180分が典型
片頭痛は片側だけとは限らない
片頭痛は両側に痛みが出ることもあり、 必ず拍動性の痛みになるわけでもありません。 痛む場所だけで診断を決めることはできません。
MIGRAINE

片頭痛とは?

片頭痛は、神経系の働きや 痛みの伝達に関わる仕組みが関係する 一次性頭痛です。

発作中は、頭痛に加えて 吐き気、嘔吐、光や音への過敏などが 生じることがあります。

通常の歩行や階段などで 症状が悪化する場合があり、 日常生活への影響が大きいことも特徴です。

片頭痛とCGRP

CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、 片頭痛の病態に関与する 神経ペプチドの一つです。

近年はCGRPの働きを標的とする 予防薬や急性期治療薬も開発され、 片頭痛治療の選択肢が広がっています。

前兆のある片頭痛

一部の方では、 頭痛の前などに、 キラキラした光が見える、 視野の一部が見えにくくなる、 しびれや言葉の異常が現れるなどの 前兆を伴うことがあります。

典型的な前兆は徐々に広がり、 5〜60分程度持続します。

初めての神経症状には注意
急な言語障害、片側の麻痺、 突然の視力障害などは、 脳卒中などとの区別が必要です。 「片頭痛の前兆だろう」と自己判断せず、 緊急の医学的評価を優先してください。
TENSION-TYPE HEADACHE

緊張型頭痛とは?

緊張型頭痛は、 頭の両側が締め付けられるように 感じることが多い頭痛です。

首・肩の筋肉の痛みや 圧痛を伴う場合もありますが、 原因をすべて筋肉のこりだけで 説明できるわけではありません。

代表的な特徴

  • 頭を締め付けるような圧迫感
  • 軽度〜中等度の痛み
  • 歩行など通常の活動では悪化しにくい
  • 強い吐き気を伴わないことが多い
  • 首・肩の不快感を伴うことがある

慢性緊張型頭痛

3か月を超えて 1か月に15日以上 頭痛が生じる場合は、 慢性緊張型頭痛に該当する可能性があります。

頭痛が頻繁に起こる場合は、 鎮痛薬の使用過多や 片頭痛との重複も評価する必要があります。

CLUSTER HEADACHE

群発頭痛とは?

群発頭痛は、 片側の目の奥や周囲に 非常に強い痛みが起こる 一次性頭痛です。

痛みと同じ側に 涙、目の充血、鼻水、 鼻づまり、まぶたの腫れなどが 生じることがあります。

発作中はじっとしていられず、 動き回る方もいます。

群発頭痛には、 酸素吸入やトリプタン製剤など 専門的な治療が用いられます。

群発頭痛を疑う場合
初めて生じた強い眼周囲の痛みでは、 目の病気や頭蓋内の病気との 鑑別も重要です。 脳神経内科や頭痛専門外来などで 相談してください。
SECONDARY HEADACHE

見逃してはいけない二次性頭痛

くも膜下出血 突然の極めて強い頭痛が 重要な徴候です。 緊急診療が必要です。
脳出血・脳梗塞 手足の麻痺や言語障害などを 伴う場合があります。
髄膜炎・脳炎 発熱、強い頭痛、 首の硬さや意識障害などに 注意が必要です。
巨細胞性動脈炎 主に50歳以上で、 新しい頭痛やこめかみの痛み、 噛むと顎が疲れる症状、 視覚障害などが問題になります。
急性閉塞隅角緑内障 強い眼痛、充血、 かすみ目、頭痛、 吐き気などが現れます。
副鼻腔炎など 顔面痛、鼻症状、発熱などを 伴う場合があります。

これらは症状だけで 正確に見分けることが難しく、 医療機関での評価が必要です。

MEDICAL ASSESSMENT

医療機関では何を確認する?

① 頭痛の発症様式

突然起こったのか、 徐々に強くなったのか、 以前から繰り返しているのかを 確認します。

② 痛みの特徴

痛む場所、強さ、 持続時間、頻度、 動作による変化などを確認します。

③ 伴う症状

吐き気、光や音への過敏、 視覚の変化、 発熱、神経症状などを 確認します。

④ 薬剤の使用状況

市販の鎮痛薬を含め、 どの薬を月に何日使っているか 確認します。

⑤ 神経学的診察

必要に応じて、 意識、筋力、感覚、 目の動きなどを評価します。

⑥ CT・MRIなど

危険な頭痛が疑われる場合や 診察所見に応じて、 頭部CT・MRI、血液検査、 その他の検査が検討されます。

頭痛があれば全員MRIが必要?
典型的な片頭痛・緊張型頭痛で、 危険な徴候が認められない場合、 必ずしも全員に画像検査が必要な わけではありません。 検査の必要性は医師が判断します。
WESTERN MEDICINE

西洋医学で行われる頭痛治療

片頭痛の急性期治療

頭痛発作を和らげるため、 症状に応じて NSAIDs、アセトアミノフェン、 トリプタン製剤などが用いられます。

吐き気が強い場合には、 制吐薬が併用される場合があります。

片頭痛の予防治療

頭痛日数が多い、 発作による生活障害が大きい場合などには、 予防治療が検討されます。

日本でも使用される薬剤には、 状態に応じて選択される従来の予防薬や、 CGRP関連抗体薬などがあります。

適応、費用、副作用、 妊娠・授乳、持病などを踏まえて、 医師が個別に判断します。

緊張型頭痛の治療

必要に応じて アセトアミノフェンやNSAIDsなどの 鎮痛薬が検討されます。

慢性例では、 頭痛頻度や生活への影響に応じて、 予防的な薬物療法を検討する場合があります。

群発頭痛の治療

発作時には高流量酸素療法や トリプタン製剤などが 用いられます。

予防治療についても 専門医の管理が必要です。

薬剤の使用過多による頭痛

頭痛を抑える薬を頻繁に使うことで、 頭痛が慢性化する場合があります。

薬剤の種類により基準は異なりますが、 トリプタンなどを月10日以上、 単純鎮痛薬を月15日以上、 3か月を超えて使用している場合などは、 薬剤の使用過多による頭痛の評価が必要です。

ただし、使用日数だけで 自動的に診断が確定するわけではありません。 処方薬を自己判断で中止せず、 医師と相談してください。

PHYSICAL THERAPY

理学療法ではどう考える?

頭痛の種類によっては、 首・肩の筋肉の状態、 頸椎の運動機能、 姿勢や活動量などが 症状に関係する場合があります。

ただし、 片頭痛を姿勢の悪さだけで 説明することはできません。

頸椎の可動域 首の動きに制限や痛みが ないかを確認します。
筋肉の圧痛 後頭下筋群、僧帽筋などの 圧痛や過敏性を確認します。
運動習慣 適切な身体活動が 維持できているか確認します。
仕事環境 長時間の同一姿勢、 休憩の取り方などを確認します。
睡眠と生活リズム 睡眠不足や不規則な生活が 頭痛に関連していないか確認します。
頸部由来の頭痛 頸椎や周囲組織の問題による 頭痛の可能性も評価します。

運動・徒手療法の位置づけ

一部の緊張型頭痛や頸部由来の頭痛では、 運動療法や徒手療法が 症状の改善に役立つ可能性があります。

ただし、研究の質や効果の大きさには ばらつきがあり、 あらゆる頭痛に有効と 断定できるわけではありません。

強い首の矯正について
突然の頭痛や神経症状がある場合、 首への強い徒手刺激を行う前に 重大な病気の除外が必要です。 特に血管性疾患が疑われる場合は、 医療機関での評価を優先します。
ACUPUNCTURE EVIDENCE

頭痛に鍼灸は有効?

鍼治療は、 一部の一次性頭痛について 予防的な治療として研究されてきました。

EVIDENCE|慢性緊張型頭痛

英国NICEガイドラインでは、 慢性緊張型頭痛の予防治療として、 5〜8週間で最大10回の 鍼治療を検討するよう勧めています。

これは頭痛の頻度を減らす目的であり、 緊急の頭痛を治療するための 推奨ではありません。

EVIDENCE|片頭痛の予防

NICEでは、 プロプラノロール、 トピラマート、 アミトリプチリンなどの 予防薬が有効でない、 使用できない、または 忍容性がない場合などに、 片頭痛予防として 鍼治療を検討する選択肢があります。

推奨内容は医療制度や国によって異なり、 鍼灸だけで片頭痛が完治することを 意味するものではありません。

研究の限界

鍼治療の効果を調べる研究では、 偽鍼との比較や 治療方法の違いなど、 解釈が難しい点があります。

また、効果には個人差があり、 頭痛の種類を診断せずに 鍼灸を行うことは適切ではありません。

鍼灸によって脳出血、 脳腫瘍、髄膜炎などが治療できる という根拠はありません。

鍼治療には、 局所の痛み・出血・内出血などの 有害事象が起こる場合があり、 まれに重篤な合併症もあり得ます。 施術は適切な衛生管理と 安全な手技のもとで行う必要があります。

INTEGRATIVE MEDICINE

西洋医学・理学療法・鍼灸の役割

西洋医学 頭痛を分類し、 危険な原因を鑑別したうえで、 急性期治療と予防治療を行います。
理学療法 頸部の機能や運動習慣などを評価し、 適した頭痛に対して 運動や身体機能の改善を検討します。
鍼灸 特定の一次性頭痛で、 頭痛頻度などの改善を目的に 補助的な治療として検討します。
生活管理 頭痛日記、睡眠、 食事、活動量、 薬の使用日数などを確認します。

最も重要なのは、 頭痛の種類を適切に見極め、 それぞれの治療の役割と限界を 理解することです。

ORIENTAL MEDICINE

東洋医学では頭痛をどう考える?

東洋医学では、 頭痛の位置や性質だけでなく、 冷え、睡眠、疲労、 消化の状態、精神的な負担などを 参考にすることがあります。

伝統的には、 気血、肝陽上亢、痰湿、 瘀血などの概念を使い、 身体の状態を整理する場合があります。

頭痛と関連して扱われる経穴

風池(GB20)、百会(GV20)、 太陽(経外奇穴)、 合谷(LI4)などは、 伝統医学で頭痛に関連して 扱われる経穴です。

医学的な区別
東洋医学の証は、 片頭痛や脳血管疾患を 診断する医学的検査ではありません。 危険な頭痛が疑われる場合は、 必ず医療機関での評価を優先します。
KUTSUROGI APPROACH

鍼灸治療院 寛ぎではどう考える?

当院では、 「頭が痛いから頭だけに鍼をする」 という考え方ではありません。

まず、医療機関での評価が 必要な頭痛ではないかを確認します。

主な確認項目

  • 頭痛が始まった時期
  • 突然発症したか、徐々に発症したか
  • 痛みの強さ・位置・持続時間
  • 頭痛が月に何日起きているか
  • 吐き気、光・音への過敏
  • 視覚症状、しびれ、麻痺の有無
  • 発熱、頭部外傷、持病
  • 首・肩の症状
  • 睡眠、生活リズム、仕事環境
  • 鎮痛薬の種類と月の使用日数
  • 医療機関での診断や治療歴

片頭痛や緊張型頭痛について 鍼灸を検討する場合も、 医学的な診断と標準治療を尊重し、 頭痛頻度や生活への影響を 確認しながら対応を考えます。

急な激しい頭痛や神経症状がある場合は、 鍼灸施術を優先せず、 速やかに医療機関への受診を勧めます。

SELF CARE

頭痛を繰り返す方のセルフケア

① 頭痛日記をつける

頭痛が起きた日、 持続時間、痛みの強さ、 伴う症状、 薬を使った日を記録しましょう。

② 睡眠リズムを整える

睡眠不足や生活リズムの変化が 頭痛に関係する場合があります。 無理のない範囲で 起床・就寝時刻を整えましょう。

③ 食事と水分補給

食事を長時間抜くことや 脱水が誘因となる方もいます。 自分の頭痛との関連を 記録しながら確認しましょう。

④ 適度な身体活動

体調に合わせて、 歩行など無理のない運動を 継続することが大切です。

⑤ 光・音などの環境調整

片頭痛発作中は、 静かで暗い場所で 休むことが役立つ場合があります。

⑥ 鎮痛薬の使用日数を確認

頭痛薬を使う日が増えている場合は、 薬剤の使用過多による頭痛を 防ぐためにも 医師・薬剤師に相談しましょう。

FAQ

頭痛についてよくある質問

肩こりが原因で頭痛になりますか?

首・肩の筋肉の状態が 頭痛と関連する場合はあります。 ただし、片頭痛や 危険な二次性頭痛を すべて肩こりで説明することはできません。

片頭痛は必ず片側が痛みますか?

いいえ。両側に痛みが出ることもあります。 吐き気や光・音への過敏、 動作での悪化などを含めて判断します。

頭痛が頻繁に起こる場合はどうすればいい?

頭痛の日数、薬の使用日数、 日常生活への影響を記録して、 脳神経内科や頭痛専門外来などで 相談してください。

頭痛があれば必ずMRIが必要ですか?

すべての方に必要ではありません。 突然の発症、神経症状、 頭痛の性質の変化などを踏まえて 医師が判断します。

鍼灸は片頭痛の発作をすぐ止めますか?

片頭痛に対する鍼治療の研究は 主に予防効果を検討したものです。 急性発作の標準的な薬物療法に 置き換えるものではありません。

緊張型頭痛なら鍼灸を受けてもいいですか?

慢性緊張型頭痛では、 NICEガイドラインが予防目的の 鍼治療を選択肢として挙げています。 ただし、医療機関での評価が 必要な症状がないことを 先に確認する必要があります。

市販の頭痛薬を毎日飲んでもいいですか?

頭痛薬の頻用は、 薬剤の使用過多による頭痛に 関係する可能性があります。 毎日のように必要な場合は、 医師や薬剤師に相談してください。

ACUPUNCTURE CLINIC KUTSUROGI

名古屋市で頭痛にお悩みの方へ

鍼灸治療院 寛ぎでは、 頭痛の頻度や特徴、 首・肩の状態、 睡眠や生活習慣なども参考にしながら、 お身体の状態について ご相談をお受けしています。

片頭痛・緊張型頭痛などに対する 鍼灸の適応を考える際にも、 西洋医学的な注意点を踏まえ、 必要な医療機関での診察を優先します。

突然の激しい頭痛、 麻痺、意識障害、 発熱を伴う頭痛などは、 速やかに救急医療を受けてください。

鍼灸治療院 寛ぎ 公式サイト 症状・疾患別ガイド一覧
REFERENCES

参考資料・診療ガイドライン

・日本頭痛学会・日本神経学会ほか
頭痛の診療ガイドライン2021
日本頭痛学会 ガイドライン一覧

・National Institute for Health and Care Excellence(NICE)
Headaches in over 12s: diagnosis and management. CG150.
Updated June 2025.
NICE 頭痛診療ガイドライン

・International Headache Society
The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition(ICHD-3)
ICHD-3 公式サイト

※本ページは一般的な医学情報を 提供するものであり、 個別の診断・治療を代替するものではありません。 危険な徴候がある場合は 速やかに医療機関を受診してください。