腰痛を正しく知る
腰痛の原因、危険な症状、西洋医学的な見方、 理学療法、セルフケア、そして鍼灸について 現在分かっていること・分かっていないことまで、 できるだけ正確に解説します。
腰痛は、一つの病気の名前ではありません。
腰痛の背景には、 筋肉や関節などに関係するもの、 神経症状を伴うもの、 腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などに伴うもの、 さらに骨折・感染症・腫瘍など、 医療機関での評価を優先すべきものがあります。
「腰が痛い=骨がずれている」 「筋肉が硬いから痛い」 と一つの理由だけで説明できるとは限りません。
まず危険な病態が隠れていないかを確認し、 その上で運動、生活調整、医療、リハビリテーション、 必要に応じて鍼灸などを検討することが大切です。
腰痛とは?
腰痛とは、 腰部に生じる痛みや不快感を表す 症状の名称です。
それ自体が一つの疾患名というわけではありません。
腰痛は、 椎間板、椎間関節、筋・筋膜、靱帯、神経などのほか、 骨折、感染症、腫瘍、内臓疾患など、 さまざまな原因によって起こる可能性があります。
腰痛にはどんな種類がある?
腰痛の原因は?
腰部には、 椎骨、椎間板、関節、筋肉、靱帯、神経など 多くの組織があります。
これらの組織が症状に関係している場合がありますが、 痛みの原因を一つだけに特定できない腰痛も少なくありません。
また、画像検査で変化が見つかったとしても、 それだけで痛みの原因が確定するわけではありません。
西洋医学ではどう考える?
医療機関ではまず、 腰痛の中に 重大な疾患が隠れていないか を確認します。
問診では、 発症時期、外傷、発熱、体重変化、 がんなどの既往歴、 脚への痛みやしびれ、 排尿・排便の変化などを確認します。
神経症状がある場合
必要に応じて、 筋力、感覚、深部腱反射などの 神経学的評価が行われます。
以下の症状がある場合は、 セルフケアや鍼灸だけで様子を見ず、 医療機関での評価が必要になることがあります。
- 急に尿が出にくくなった
- 尿や便をコントロールできなくなった
- 肛門・会陰部・性器周囲の感覚が鈍い
- 両脚の強いしびれや筋力低下が急速に進んでいる
- 大きな事故や転倒後に強い腰痛が出た
- 発熱や強い全身倦怠感を伴う
- がんの既往があり、新たに強い腰痛が出た
- 原因不明の体重減少を伴う
- 安静時にも強い痛みが続く
- 症状が急速に悪化している
特に、 排尿・排便障害、会陰部の感覚異常、 進行する両脚の筋力低下 などは緊急性の高い神経障害が隠れている可能性があります。
この場合は鍼灸施術より医療機関での評価を優先してください。
腰痛ならMRIやレントゲンが必要?
必ずしもそうではありません。
重大な疾患が疑われない腰痛について、 最初からすべての方に画像検査を行うことは 一般的には推奨されていません。
画像検査は、 結果によって治療方針が変わる可能性がある場合などに 検討されます。
理学療法ではどう考える?
理学療法では、 「腰が痛いから腰だけを見る」 とは限りません。
腰痛でも身体を動かした方がいい?
多くの一般的な腰痛では、 長期間の過度な安静は推奨されません。
痛みの程度を確認しながら、 できる範囲で日常生活を維持し、 徐々に身体活動へ戻していくことが基本となります。
運動には、 ウォーキング、筋力運動、 有酸素運動、柔軟性運動などがありますが、 すべての方に同じ運動が必要なわけではありません。
腰痛に鍼灸は有効?
慢性非特異的腰痛に対する鍼治療については、 疼痛や身体機能への影響を検討した 臨床研究があります。
一方で、 対照介入との比較や研究方法によって 結果にはばらつきがあります。
また、 国や診療ガイドラインによって 鍼治療に対する推奨は一致していません。
したがって、 「腰痛なら鍼をすれば治る」 と断言することはできません。
一方で、 一部の慢性腰痛に対する疼痛管理や機能改善の 補助的選択肢として研究されています。
鍼灸でできること・できないこと
鍼灸で目指すこと
- 疼痛や不快感の軽減を目指す
- 筋緊張への対応
- 身体を動かしやすい状態づくり
- 睡眠や疲労など全身状態への配慮
- 日常生活へ戻るための補助的サポート
鍼灸ではできないこと
- 骨折した骨を接合すること
- 悪性腫瘍を鍼灸で治療すること
- 感染症を鍼灸で治療すること
- 重度の神経圧迫を物理的に解除すること
- 突出した椎間板を鍼で元に戻すこと
- 緊急疾患を鍼灸だけで対応すること
東洋医学では腰痛をどう考える?
東洋医学では、 同じ腰痛でもすべて同じ身体の状態とは考えません。
伝統的には、 寒湿、湿熱、気滞、瘀血、腎虚などの概念を用いて 身体の状態を整理することがあります。
東洋医学独自の身体観・分類方法です。
鍼灸治療院 寛ぎではどう考える?
当院では、 「腰が痛いから腰だけに鍼をする」 という考え方ではありません。
まず、 鍼灸施術で対応してよい状態なのかを確認します。
確認する主な項目
- 発症時期
- 発症のきっかけ
- 痛みの位置・性質
- 安静時痛・夜間痛
- 脚への痛み・しびれ
- 筋力低下
- 歩行状態
- 腰部や股関節の動き
- 仕事・日常生活での負担
- 睡眠・疲労
- 冷え・食欲・便通など
医療機関での検査や治療を優先すべき状態が疑われる場合は、 鍼灸施術より医療機関での評価を優先します。
自宅でできる腰痛ケア
① 長期間寝たままにしない
強い痛みがあると一時的な休息が必要な場合もありますが、 痛みが落ち着けば、 可能な範囲で日常動作へ戻していきます。
② 少しずつ歩く
症状を大きく悪化させない範囲で、 短時間の歩行から始める方法があります。
③ 同じ姿勢を長時間続けない
座り仕事では、 定期的に立ち上がり、 姿勢を変えることも大切です。
④ 痛みを必要以上に怖がらない
腰痛では、 痛みの強さと組織損傷の程度が 必ず一致するとは限りません。
腰痛についてよくある誤解
「骨盤がずれているから腰痛になる?」
腰痛の原因を 「骨盤のずれ」だけで説明することはできません。
「腰痛なら絶対に安静?」
一般的な腰痛では、 長期間の過度な安静が 必ずしも回復につながるわけではありません。
「MRIでヘルニアがあれば、それが痛みの原因?」
画像所見だけでは判断できません。 症状や神経学的所見などとの一致を確認する必要があります。
「鍼でヘルニアを元に戻せる?」
突出した椎間板を、 鍼によって物理的に元の位置へ戻せるという 医学的根拠はありません。
腰痛についてよくある質問
腰痛は温めた方がいい?
状態によります。 温めて心地よい場合には利用できますが、 外傷直後や強い腫れ・熱感がある場合など、 すべての腰痛を温めればよいとは限りません。
腰痛があっても運動していい?
多くの一般的な腰痛では、 症状を大きく悪化させない範囲で活動を維持することが大切です。 ただし神経症状や危険なサインがある場合は、 先に医療機関で評価を受けてください。
腰痛は何回くらい鍼灸を受ければいい?
一律には決められません。 原因、期間、症状の強さ、生活状況などによって異なります。 施術を続けても変化が乏しい場合には、 施術方針や病態そのものを再評価する必要があります。
病院と鍼灸院は併用できる?
状態によっては併用できます。 必要な医学的評価や治療を受けながら、 症状管理の補助として鍼灸を検討する場合があります。
腰痛と関連する症状・疾患
名古屋市で腰痛にお悩みの方へ
症状が出ている場所だけでなく、 西洋医学的な注意点を確認した上で、 東洋医学の気血・経絡・臓腑・陰陽なども参考にしながら 身体全体を確認します。
全身鍼灸
90分程度 / 11,000円(税込)
美顔鍼付き
参考資料・ガイドライン
・日本整形外科学会・日本腰痛学会 「腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版」
・World Health Organization 「WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults」
・NICE 「Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management」
※本ページは医学情報の提供を目的としたもので、 個別の診断を行うものではありません。 症状が強い場合、急速に悪化している場合、 神経症状や全身症状を伴う場合には医療機関へご相談ください。